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海外出張時の上手な睡眠の取り方

ポイント

海外出張時のポイントは、まとめると次のようになります。対策は東向き・西向きによりわかれます。

  1. 短期間の出張の場合、睡眠リズムは日本時間に合わせたままにする。
  2. 長期間の場合、睡眠リズムはなるべく早く、現地時刻にあわせる。
  3. 出張数日前から、現地時刻にあわせ1時間ずつ睡眠時刻をずらした生活をする。
  4. 飛行機内は体内時計に影響するアルコール・カフェインは控える。
  5. サプリメントや、必要な場合には睡眠薬を上手に活用する。

※当然、旅行のときもポイントは同じです。

東向き移動

東向きは西向きよりも時差による症状が出やすい事が知られています。東向きの場合、現地の生活時間にあわせるには寝る時間を早めないといけません。そして体内時計は早めることが難しいのです。西向きの場合は、寝る時間を遅らせると、現地の生活時刻にあわせられますが、これは比較的楽にできます。

東向き出張の場合は、無理のないスケジュールを組むとともに、現地時刻への順応はゆっくりする方が良いでしょう。過ごし方のポイントは以下の3つです。

  1. ”日本時間で夜”の間はサングラスをかけ、なるべく光を浴びない。
  2. ”日本時間の早朝”の時間帯には、積極的に光を浴びるようにする。
  3. 光を浴びる時間帯を少しずつ早める。

3の早め方は、余裕がある場合は1時間ごとが最も身体にはよいでしょう。しかし余裕がなく無理をしなければならない場合もあると思います。その場合に限り、睡眠薬を利用することも検討するとよいでしょう。

西向き移動

ヨーロッパへの移動では、現地の睡眠時間帯は、”日本時間の早朝”になります。徹夜あけににた状況ですから寝つきはよいはずですが、”日本時間の昼”(現地時間早朝)に差し掛かると、ホルモンの作用により体の活動性が上がり、目が覚めてしまいます。睡眠時間が不足する傾向になるので、昼寝をして補うようにしましょう。その際、昼寝は1時間以内にとどめるようにしてください。

南北の移動

当然のことですが、オーストラリアなど南北移動においては、時差は発生しませんので、睡眠リズムの崩れはありません。移動による疲れをとるために、着いた初日にゆっくりと過ごすスケジュールをとれば大丈夫でしょう。

まとめ

東向き移動が、「体内時計のリズムを意識して前進させる」ことである一方、

西向き移動では、「睡眠不足を意識して補うこと」に注意すると良いでしょう。

具体的な方法は後述するケースを通じて、学んでいきましょう。

具体的ケース

具体的にみていきましょう。普段は0時から7時に睡眠をとっていると仮定します。

※時差計算を簡単に考えるポイントは2つ。

  • 東にいくと+〇時間、西にいくとー●時間。
  • 東に進んで、日付変更線を越えるとー1日。

 

<ケース1>ニューヨーク出張7日間(現地5泊)時差+10時間(ー1日)

①往路:東京AM11時発、ニューヨーク行き(所要13時間)現地時間AM10時着

1.事前準備:数日前から「早寝早起き」にずらす。

早寝にするのは難しいので、ゆっくりと日にちをかけるほどよいです。

3時間はずらし、21時に寝るようにもっていきます。(早いほどよいです)

これで、東京0時(ニューヨーク時刻AM10時)に寝ていた生活から、

東京21時(ニューヨーク時刻AM7時)に寝る生活となり、少し早まります。

※この際、メラトニンホルモンを使うとより効果的です。

2.出発当日:機内から現地時刻で生活をはじめる。

出発当日、AM3時に起き、コーヒーを控え、サングラスなどで光を遮りましょう。

飛行機に乗ったあとはなるべく早く眠るようにします。時計を現地時間にあわせましょう

東京が11時であれば、ニューヨークは21時です。出てくる食事は夜食と考え控えてください。

そしてもし3時間後に眠れれば、ニューヨーク時刻0時に寝付くことになり現地に合います。

※機内での睡眠薬使用はエコノミークラス症候群のリスクを高めるなど注意が必要です。

必ず医師に相談してください。

3.現地到着後:積極的に光を浴び。さらに体内時計を前進させる。

  疲れている場合は1時間前後の仮眠をとってもかまいません。

  到着日の夜は、なるべく早めに寝るようにしましょう。

  何時に寝たとしても、翌朝は早起きし、また太陽光をたくさん浴びるようにしましょう。

  これを繰り返します。

  ※早めに眠るために、睡眠薬を使うのもひとつの手段です。  

 

②復路:ニューヨーク13時発、東京行き(所要14時間)到着16時

1.帰りは西向きとなりますから、逆にリズムを遅らせて行きます。

  ニューヨークで0時に寝ていたとしたら、最終日は夜更かしして3時に寝ましょう。

  これで3時間、遅れることになります。睡眠はしっかりとってください。

  ※リズムを早めるのは1時間ごとでしたが、遅らせるのは1日で3時間程度可能です。

2.飛行機に乗ったら、日本時間に時計を合わせます。

  ニューヨークの13時は東京ではAM3時ですから、すぐに寝ましょう。

  ニューヨーク時間に馴染んだ体は寝付きにくいので、医師の許可があれば睡眠薬を使います。

  眠れるだけ眠って、飛行の後半は、なるべく起きておきましょう。

3.日本に帰ると、疲れもあって、すぐに寝たくなるかもしれませんが、まだ16時です。

  できればそのまま起きておき、21時頃に寝るようにしましょう。

  このときはニューヨーク時刻AM7時ですから、徹夜明けと同じようにすぐ眠れるでしょう。

  翌朝は、起きたらたっぷりと太陽光を浴びます。これでリズムは整います。

 

<ケース2>ロンドン出張7日間(現地5泊)時差-9時間

①往路:

②復路:

 

次に、短期出張の場合を考えてみましょう。

乗務員の方々も、実際にこのスケジュールで動くことが多いと思います。

 

<ケース3>ニューヨーク出張4日間(現地2泊)時差+10時間(ー1日)

☆短期の出張の場合、日本時間に合わせておくことがキーポイントです。

①往路:東京11時発、ニューヨーク行き(所要13時間)到着10時

1.前日まで、日本でのリズムと同じ生活を送ります。0時ー7時の睡眠です。

2.飛行機に乗っても、時計の針は動かさず、日本時間のままにしておきましょう。

  でてくる食事は、食べても大丈夫です。カフェインは、出発後3時間までにしておきましょう。

  アルコールは避けましょう。

3.ニューヨーク到着時刻の10時は、日本のAM0時です。

  到着後、サングラスをかけ太陽光を極力浴びないようにし、ホテルへ直行します。

  ホテルに着いたらすぐ眠りましょう。

  現地での打ち合わせは、可能なら到着翌日のニューヨーク16時以降にいれるのがベストです。

  それなら日本時間の朝6時の感覚です。

  もし翌日の10時だと、日本の深夜0時に打ち合わせをする感覚になります。

 

②復路:ニューヨーク13時発、東京行き(所要14時間)到着16時

1.帰りの出発は日本時間でAM3時ですから、飛行機に乗ったらすぐに寝るようにしましょう。

  自然と眠れると思いますが、アルコールは少量なら飲んでもよいでしょう。

  行きは飲めませんが、帰りに飲めるのは嬉しい事ですね。

2.6時間ほど眠ったあとは、なるべく起きて活動しておきましょう。

  以後は、コーヒーを飲んでもかまいません。

3.日本に到着したあとは、疲れもあるため22時には眠るようにしましょう。

  翌日から、普通のリズムで生活ができるはずです。

  とはいえ、さすがに1日は休暇がとれるようにしていただきたいと思います。

 

<ケース4>ロンドン出張4日間(現地2泊)時差-9時間

①往路:

②復路:

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